先行き不透明なこの時代、どんな大企業に転職してもリスクがあるなら、自分のやりたいことをやろうと思う人が増えています。
人気なのがスタートアップ企業で、意識の高いビジネスマンたちの転職先として注目を集めています。
スタートアップ企業に転職する魅力は多くの場所で語られており、神格化されつつありますが、実は非常にリスクが高い転職パターンの1つです。
リスクから目を向け、「やりがい」や「ワクワク感」だけで転職すると痛い目に合いますので、ぜひ慎重になってください。
そこで今回は、あまり語られないスタートアップ転職のリスクを解説します
目次
そもそもスタートアップ企業って何?

まずはあまりよく知られていないスタートアップ企業の定義について解説します。
もともとスタートアップ企業とは、アメリカのIT関連企業が集まっているシリコンバレーで使われ始めた言葉です。
意味は「起業したばかりの企業」のことです。
でも、これだけですとベンチャー企業にも当てはまりますよね。
その違いについては次項で説明します。
ベンチャー企業との大きな違い
ベンチャーというのは今では当たり前のように使われていますが、もともと和製英語です。
英語だと、投資する人や企業のことを指します。スタートアップ起業を簡単に説明すると・・・
『新しいビジネスモデルを生み出し、短期間で急成長を狙う。』
そんな人たちの一時的な共同体』ということができます。
日本のベンチャー企業との一番の違いは、イノベーション的な視点にあります。
世の中にはないビジネスモデルやサービスなどえリリースすることが目的にあることが殆どです。
日本のベンチャーは継続的に利益を生み出すことを目的としているので、根本的には別物です。
国内でも最近、本当の意味でのスタートアップ企業が現れ始めています。
スタートアップ企業が注目される理由

続けてスタートアップ企業が何故ここまで注目されてるかについて解説します。
1.会社の急成長が期待される
スタートアップ企業はこれまでにないサービスを提供してることが多いです。
それが上手くヒットすれば、将来的に爆発的な利益が期待され、会社の急成長も見込めます。
ニッチな市場だったり新たなビジネスモデルで爆発的に収益を上げられる点が、スタートアップ企業の一番の存在意義です。
2.上場した際に多額の報酬を得られる可能性
スタートアップ企業の多くは株式市場に上場することを目的に動いてます。
そしてスタートアップ企業が上場した際には従業員にもメリットがあるのです。
従業員のインセンティブの一環として、ストックオプション(予め決められた価格で自社株を取得、売却できる権利)を得られることがあります。
そのストックオプションを活用することで、企業が上場ゴールを果たした際に多額の報酬を得られる可能性があるのがスタートアップ企業です。
以前にシリコンバレーのIT企業が上場したことによって、莫大な利益を得た人が話題になりました。
これもストックオプションによる利益によって得た報酬というわけです。
野心があり、一発逆転を狙う人からも注目を集めやすいのがスタートアップ企業なのです。
3.イノベーション革命で今までにない生活様式を生み出す
昔はテレビ電話など考えられませんでしたが、今や携帯端末ですらそれが可能になっています。
スタートアップ企業は新しいイノベーションを生み出すことを使命としています。
単に利益だけを追い求めるのではなく、信念と情熱を持っている点がその他起業との違いです。
4.同じ目的を持った同士の集団
利益だけではなく同じ情熱をもって世の中をもっと便利にしたいと考える人々が集まったのがスタートアップ起業です。
当然モチベーションや士気が高く、仕事をする上で非常にやりやすい関係性が構築できます。
割と意識高めなビジネスパーソンで固められてるのも、スタートアップ企業の大きな特徴です。
5.世の中に変化を与えるワクワク感
現状に不満を持つと同時に「自分が世の中を変えてやる!」と使命感を持つ方もいますよね。
世の中に新しい商品やサービスを生みだした「革命児」と呼ばれたいと、ワクワクする人は少なからず存在します。
スタートアップ企業は、既存のビジネスとは異なる革新的なアイデアや切り口から、商品やサービスを提供する企業のことです。
新しい仕事に挑戦したい方や世の中に変化をもたらしたい方にとって夢がある企業と言えるでしょう。
スタートアップ企業の労働環境の実態

スタートアップ起業とベンチャー企業の違いについて説明してきましたが、実は労働環境については非常に似通っている部分が多いです。
最近では、スタートアップ企業への転職を神格化してる風潮もありますが、労働環境の実態を抑えておかないと転職後に後悔することになります。
今回は敢えてメリットではなく、デメリットの部分にスポットを当てて紹介したいと思います。
1.経営者の能力が以上に高い
一代で会社を大きくした社長などをもそうですが、リスクを犯してあえてスタートアップ起業を立ち上げようとするような経営者は能力がとても高いです。
そのため「自分にできることは、他の人でもできる」と考えてしまいがちです。結果として「できないならできるまでやれ」という体質が出来上がりやすくなってしまいます。
2.経営者の要求が高い
スタートアップ起業の経営者になるような人は頭の回転も速く、人が2時間かかる仕事を1時間で終わらせたりします。困ったことに本人はそれが特異なことだと思いません。
だから、他人ができないことが不思議で仕方がないのです。その結果、自分が8時間で出来る仕事を勤務時間内に終わらせるが当然と思い、過酷な残業が発生したりします。
3.労働環境の未整備
とかく利益を追い求めるのに重点を置くあまり、利益に結びつかない環境整備は後回しという傾向があります。
後に改善すると言い聞かせてる経営者も多いですが、会社が儲からなければ。いつまで経っても改善されないままです。そうなるとブラック企業と殆ど変わりませんよね。
4.残業は当たり前で、アフター6とは無縁
前項の労働環境の未整備に当てはまる項目ですが、スタートアップ企業で定時に帰れる会社はほとんどありません。
創業して間もない状態なわけですから、当然ながら仕事量も膨大で忙殺されることが大半です。そんな中で定時で帰ろうもんなら、周りから白い目で見られます。
アフター6を堪能したい人は、スタートアップ企業に入るべきではないでしょう。
5.倒産リスクが高い
実は、スタートアップ企業が成功する確率はそう高くありません。むしろ限りなく低く、失敗する確率は93%という統計まであります。
特にここ最近のスタートアップ企業は、パトロンなどから調達した資金をもとに食いつないでるケースが多いです。調達資金が底をつくまでに、サービスをローンチして利益を上げていくかがカギです。
順調に利益が拡大していけば問題ありませんが、当然上手くいかないケースも往々にしてあります。そうなった場合、しばらくの間の活動資金として、新たに資金調達をするわけですが、状況によってはパトロンから資金援助を打ち切られることもあります。
スタートアップ企業にとって、資金調達は生命線とも言えますが、ちょっとしたきっかけで生命線が切られる可能性が高いのも大きなリスクです。
スタートアップ転職で見られる3つの勘違い

スタートアップ企業への転職で変に憧れを持ってしまってる人はけっこう多いです。
これもおそらくメディアがやたらとスタートアップ企業を持ち上げてる影響かもしれません。
スタートアップ転職でよく勘違いされてる点を3つピックアップして紹介します。
1.裁量権があってやりがいがあるとは限らない
スタートアップ企業ではよく、「個人の裁量権がある」と言われます。
企画から実行までを個人に任せてくれることで、やりがいを持ちやすく、生き生きと働けるというものです。
裁量権に魅力を感じてスタートアップ企業への転職を考える方も多いですが、実際にはギャップを感じることになります。
スタートアップ企業であっても、組織内の規則や上下関係はしっかりと存在し、自身が思っていたよりずっと自由度が低いことがあるからです。
柔軟な発想で企画を提案しても、予算の都合上やれないことも多いでしょう。
好きなことを好きなだけやれるわけではないのです。
2.スピード感があるとは限らない
経営者との距離が近く、意見を言いやすい雰囲気であることから、スタートアップ企業は「スピード感」を売りにしています。
確かに、大企業の場合は何人もの役職者の決裁を経るため最終判断までに時間がかかりますから、意志決定スピードがスムーズと言えるでしょう。
しかし、スタートアップ企業は少数体制のため、雑用、営業、事務など、あらゆる業務を一人で担当しなければならないケースも少なくありません。
目的の業務を完結させるために、結局は時間がかかってしまうことも多いです。
スタートまでは早くても、動き出した後に効率よく業務を進められないため、スピード感が必ずしもあるとは言えないのです。
雑務に追われて肝心な業務ができなくなり、イライラしてしまうこともあります。
3.上場ゴールしても報酬を得られないケースも多い
スタートアップ企業の魅力の一つとして、上場ゴールを果たした際にストックオプションによる多額の報酬が得られる点上げられます。
しかし、実際のところは従業員にストックオプションを全く発行していないスタートアップ企業が多いのです。
当然ながらストックオプションがなければ会社が上場したところで、ほとんど恩恵は受けられません。
有名な話でいうと、2017年8月に上場したスタートアップ企業「Wantedly(ウォンテッドリー)」の例が上げられます。
具体的な内容は割愛しますが、Wantedly株のほとんどが社長所有であったという話で、一部の役員以外は従業員に全くストックオプションを発行していなかったというニュースが話題になりました。
これは何もWantedlyだけに限った話ではありません。
従業員にストックオプションを発行しないスタートアップ企業は意外と多いです。
だいたい役員レベルになってストックオプションを得らえるかどうかって感じです。
上場ゴール時の報酬を狙って低賃金で頑張っているスタートアップ従業員も多いですが、ストックオプションが発行されていなければ全く意味ありません。
スタートアップ転職でよくある失敗例

続いてあまり語られることのないスタートアップ転職の失敗例を紹介します。
メディアではスタートアップ企業の輝かしい部分を強調して魅せてることも多く、その影にあるリスクについてはあまり触れられてません。
スタートアップ企業への転職を考えてる人はよく見ておいたほうがいいです。
成長スピードについていけない
成長性が魅力のスタートアップ企業ですが、転職して周囲の成長についていけない人はよくいます。
「自分の実力を試したい!」と感じて転職してきた人は、結果を残せない現実にがっかりしてしまうでしょう。
スタートアップ企業への転職を考える方は意識が高く優秀な人も多いですが、経営者はそれ以上です。
輝かしい経歴や学歴を持っている優秀な人が多いため、労働者にも自分のような高いレベルを求めます。
経営者から求められる能力を発揮できず、潰れてしまうケースも意外と多いです。
労務管理が曖昧で違法な働き方をさせられる
スタートアップ企業は少人数体制で、一人で何役もこなすため、企業利益と直接関係のない業務が手薄になりやすい実情があります。
最たるものは人事労務管理でしょう。
勤怠管理や労働基準法の認知、徹底がされておらず、人事労務管理が曖昧になりがちです。
スタートアップ企業で働く多くの労働者は、長時間に及ぶ残業、深夜労働、休日出勤をしています。
やりがいを求めて転職したはずなのに、体調を崩したり、働き過ぎでメンタルの不調をきたしたりといった例は多いものです。
会社が倒産になり、転職を余儀なくされる
夢を持って始めたスタートアップ企業の9割以上が倒産していると言われています。
メディアで取り上げられるような優良企業になるのはほんの一握りで、取引先の一存や市場のニーズの変化により、一瞬で業績が悪化するケースも多々あります。
何かトラブルがあっても、乗り越えるだけの体力が備わっていないため、あっという間に倒産なんてことも珍しくありません。
スタートアップ企業への転職を安易に決めたことで、その後のキャリアが不安定になってしまうのです。
スタートアップ企業で本当に働きたいのか、今一度確認しよう

最近は一部でスタートアップ企業への転職を持ち上げてる節がありますが、どうにも違和感を感じます。
前項でスタートアップ企業のリスクについてまとめましたが、冷静に見てみるとブラック企業と紙一重な部分がけっこうあります。
スタートアップ企業の求人を見てみても非常に工夫されており、「ここで働くと楽しそう」みたいな印象を受けます。
でもこれってブラック企業の求人とかでもよくある傾向ですよね。
実際に働いてみると、予想していたのと違うなど、アンマッチも多く発生していて、結果的に不幸な結末で終わってることも多いわけです。
特に労働環境面から見ると、ブラック企業とほとんど変わりません。そんな中でスタートアップ企業へ転職する意味は何なのでしょう?
筆者が思うに、スタートアップ企業で上手くやっていける人は、良くも悪くも仕事が全てって人が多いです。
あとは世にないサービスを生み出したいなど、根っからのイノーベーターとかも相性がいいでしょう。
たとえ労働環境は苛酷でも「自分が世の中を良くするんだ」と、志を持って仕事ができる人が結果的に上手くいってます。
そういった志の高い人から見れば、ただのブラック企業とはまた違った意味を見いだせるのではないかと思います。
いずれにしてもスタートアップ企業へ転職する前に、自分のスタイルと考え方が、本当にマッチするのかを見極める必要があります。
間違ってもプライベート重視な人はスタートアップ企業には入るべきではありません。
まずは自分にとって、仕事がどういう位置づけになってるかを確認してからスタートアップ企業への転職を考えても遅くありません。
今後もスタートアップ企業が増える傾向はしばらく続くと思われますが、焦って転職することだけは絶対に避けましょう。
まとめ
スタートアップ企業はイノベーションを売りにした夢ある企業であることから、その魅力ばかりがフォーカスされがちです。
しかし、実際には転職した後に理想と現実とのギャップを感じ、後悔する例も散見されるリスクの高い転職と言えます。
安易な転職は避け、リスクを許容することも視野に入れ、慎重な転職を心がけましょう。
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